ロコガイド テックブログ

「地域のくらしを、かしこく、たのしく」する、株式会社ロコガイドの社員がいろいろな記事を書いています。

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ユニコーン企業のひみつを読んで

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こんにちは。取締役CTOの前田です。

私達ロコガイドは日常の地域のくらしを、かしこく、たのしくするべく、チラシ/買物情報サービストクバイを中心とした様々なサービスやプロダクトを開発しています。
プロダクト開発においては、ユーザーの課題やニーズを正確に捉えることができているか、課題に対して適切なプロダクト設計を実現できているか、技術やデータの力で大きな問題解決につなげることができているか等、様々な課題に向き合い、チームとして解を導き出し、日々問題解決に向き合い続ける必要があります。

チームワークを引き出すために様々な開発プロセスが考案され、世界中で実践されています。
弊社ではスクラムをベースとした反復型開発を中心として、各チームで様々な開発プロセスが運用されていますが、開発プロセスの改善はもちろん、100%, 120%の力を引き出すための組織設計をどのように行うべきか、日々試行錯誤を繰り返しています。

そんな中、「ユニコーン企業のひみつ」を知り、興味をもっていたところに献本いただきました。ありがとうございます。
本著で言及されている所謂 Spotifyモデル については、存在については知っていたものの、いくつかの文献を参照したことがある位の知識でした。
本書を読み進めていくと、「本当の対象読者は経営リーダーを始めとした、チームをプロダクトやソフトウェアのデリバリーにフォーカスさせる組織づくりの担当者なんだ」の言葉通り、組織づくりの参考にするべき視点について多く言及されており、様々な気付きをいただくことができました。

この記事では、私が印象的に感じた箇所、ロコガイドにおける現在の開発組織と照らし合わせて考えたテーマについてお話したいと思います。

ミッションとカンパニーベット

ロコガイドでは長らく職能別組織を採用し、ミッションや目的に応じて職能横断型の一時的なチームを組成する方法をとっていました。
所謂マトリクス型組織の形態ですが、チームが一時的であるがゆえに「集中して課題に取り組めない」「いくつかのミッションやプロジェクトをまたがっての兼務が多い」等の課題を抱えており、4月より事業優先度に応じて組織を組成し、可能な限り事業部内に開発チームを内包する形態を取り始めています。
この様な形態ではチームが掲げる目標に集中しやすくなる一方、チーム間の連動性や、全社単位の大きなチームワークをどのように生むかは大きな課題の一つです。

上記課題の解決に取り組むために、私が本書の中で最も重要だと感じたのは「5章 ベットで方向を揃える」の章です。
全社で取り組むべき事業課題の優先度、今取り組むべき理由や意義について、全社の意識が統一されることはとても重要です。弊社においても、いかに意識の統一度合いを引き上げていくか試行錯誤を重ねています。
その中で「5.3 カンパニーベットの仕組み」で言及されているDIBBは、意識統一のために伝えるべき項目を見直す良い例となり、「5.5 やり抜くためのコツ」ではいかに優先度が高い課題に対して集中していくべきかを見直す機会となりました。
スクワッドのミッションとカンパニーベットの連動性、全社での戦略的な行動とチームのフォーカスをどのように両立し、大きな成果につなげていくかは非常に難しい問題ですが、考えるべき大事な視点は4章と5章に詰まっていると感じました。

定期的なアセスメント

本書に関連してSpotifyモデルの記事をいくつか参照する中で、一つ参考にしたいと感じたのはスクワッドに対して実施されている定期調査です。

f:id:takatoshi-maeda:20210902175450p:plain 引用: https://lean-trenches.com/scaling-agile-at-spotify-ja/

ロコガイドではチームとの議論やチームリーダーとの1on1の中でチームの状態を把握し、改善の手立てを都度考えています。
しかし、事前に調査項目を明示しておくことで、理想のチームのビジョンを明確にすることができますし、チーム(スクワッド)がより自律的に動くことができる助けになると感じました。
調査項目に関してはロコガイドのニーズに沿ったものを設計する必要がありますが、このプラクティスはぜひ参考にして取り入れていきたいと思います。

最後に

本書はSpotifyが自律、権限、信頼を追い求めた事例、カルチャーについての概観を掴むために良い本だと感じます。
最後にも言及されているとおり、「他所のうまくいっているところをコピーしてもうまく行かない」という点は留意すべきですが、「私達とSpotifyのプロダクト開発のカルチャーの違いはなにか」「より良いプロダクトを作るために埋めるべき違いはなにか」「埋めるためにどのように行動していくか」を考えるための、良い壁当て相手の1冊として振る舞ってくれるはずです。
より良いプロダクト作りのために、組織やチームに向き合っている方々が改めて考える機会として、手にとってはいかがでしょうか。