こんにちは、インフラ周りを見ているfukajunです。
この記事はロコガイド Advent Calendar 2020の5日目です。
インフラチームではスプリントのなかで行う各種ミーティングの流れを書いたドキュメント ==「式次第」を整備して毎回のミーティングを進めています。
今日はこの式次第を作ることの意義について話したいと思います。
インフラチームの日々の業務の進め方について
インフラチームでは2週間を1スプリントとして仕事を進めています。
スプリント中は、スプリントプランニングで割り振った各自のタスクを進めるとともに、
定期的にいくつかのミーティングを実施しています。
以下に代表的なものを、スプリント中の順番で紹介します。
- スプリントプランニング
- スプリント中のタスクの具体的な進め方や、ポイント見積もり、スコープの決定を行います。
- スプリントはここからはじまります。あとは各自割り振りにもとづいて仕事を進めていきます。
- 朝会(スタンドアップミーティング)
- 毎日の共有・報告・相談を行います。
- チームの一日の始まりです。
- トラブル対応振り返り
- アドホックな障害対応を行った最後に毎回行います。
- 終息の確認、横並び影響チェック、一時的な対応の戻し忘れ、ワークアラウンドによる2次的な障害の可能性を確認します。
- インシデント棚卸し会
- スプリント終盤に行います。ここ2週間に発生したアラートを深堀りし対策を立てます。
- バックログ棚卸し会
- 次のスプリントに向けたタスクの優先度整理とクロージングを行います。
- レトロスペクティブ
- スプリントを締めくくり、次のスプリントに向けた振り返りを行います。
各ミーティングはだいたい30分〜1時間で行っています。
式次第とは?
式次第とは、卒業式、入学式とか式の流れを書いたアレです。
実際には和紙にかいているわけでもなく筆で書いているわけでもないです。
インフラチーム内では、スプリント内の定期的なミーティングの流れを箇条書きにしてまとめたものと定義しています。
式次第には、会の流れとともにミーティング中に見る資料へのリンクやチェックポイントを書いています。
毎回のミーティングは、基本的にはこの式次第に書かれた順番・内容で進めるようにしています。
式次第の例
下記が実際に日々使っている式次第から一部抜粋した内容です。
## 朝会目次 :sun_with_face: 1. 各自実績・予定 (1人1分以内) - 各自共有 - 昨日やったこと - 今日やること 2. 開発の気づいた新しい動きについて共有 - 共有: xx/xx〜xx/xxまでキャンぺーンをするので負荷に注意 3. デイリーチェック - パッケージアップデートチェック - ダッシュボードチェック 6. 習慣系TRY確認 - 朝会自体は10分で終わらせる - KPTが翌週になる場合は最終日に書く 7. NewIssueを分類するぞ => ZenHubへのリンク - 「ポイント」と「優先順位」を決める - 目安: 3分/1issue ### ここで朝会終わり - 困っていること、相談したいこと
## バックログ棚卸し会 :notebook_with_decorative_cover: 次のスプリントに向けたタスクの優先度整理とクロージングを行う 1. 1,2※からNextに期限が迫っているもの持っていく 2. アナウンスが必要かどうかを確認 => 必要あればアナウンス 3. Nextの優先度を確認していく - 基本朝会でポイント見積もりを行っている優先度でならんでいるはず - ポイントが抜けているIssueにポイントをいれていく - 次スプのIssue詳細化はこのへんまでやるっていうのを決める - 担当はスプリントプランニングで決める 5. 手順をブラッシュアップ (※1,2は緊急度が高いもののグルーピング)
## トラブル対応振り返り 1. 実作業として何をやったか確認 2. 作業後の切り戻しが必要なものはないか確認 3. 同様の原因で他に問題がでるものはないか検討 4. 発生したトラブル + 作業したオペレーション起因で他のトラブルが発生しないか? 5. 手順をブラッシュアップ
式次第を作った理由について
もともと下記のような課題を解決するために作りました。
- 頻度の低いミーティングだと、前回開催したときの進め方や反省点を忘れてしまっている
- 司会を交代したときに、進め方がわからない・やることが抜けてしまう
- やることが安定しないのでミーティングのスコープに入ってないことまでやってしまう
式次第を作ると何が良いか?
上記の課題を解決できたのはもちろんのことですが、その他のメリットもあったので紹介します。
誰でもスムーズに進めることができる
以下のように、式次第を作ることでミーティングをスムーズに進めるられるようになりました。
- ミーティング中にやる事とその順番がすぐにわかるようになった
- やる事に抜けがなくなり、最適な順番でスムーズに進められるようになった
- 参照する資料へのリンクも載せているので、毎回探す手間がなくなった
- 誰が司会をやっても同じように進められるようになった
新しいメンバーがチームにジョインする際も戸惑いを減らせそうです。
流れを最適化できる
ミーティングの流れを棚卸ししてドキュメント化したことで
開催時にスムーズでなかった箇所や、新たに試してよかった内容を
次回に反映できるようになりました。
これによりインクリメンタルな改善がやりやすくなりました。
具体的な例をあげると、新たに追加したIssueの優先順位をスプリント終盤のバックログ棚卸し会で整理していました。
しかし、Issueの追加と整理のタイミングがずれてしまうため、内容を思い出すのに時間がかかっていました。
これを、「Issueが作られた翌日の朝会でその都度整理する」と変えることで、
記憶が鮮明なうちに内容を整理でき、バックログ棚卸し会の時間が半分以下になりました。
結果、終盤に行っていた整理のための時間は半分以下に短縮できました。
内容を減らすことができる
式次第によってやることが可視化されることで、自動化できそうなことを見つけ出し、
ミーティングの量を減らすことにもつなげられます。
以前は、スプリント毎にライブラリのバージョンをチェックする「パッケージアップデート会」をやっていました。
この会は式次第に書かれているコマンドを打っていき、結果をある程度決まった法則に基づいてチェックするだけの会でした。
ある程度やり方が固まった時点でこの作業を自動化し、更に(スプリント毎ではなく)1時間毎に動かすようにしたことで、
会をなくせただけでなくバージョンアップに早期に気付けるようにもなりました。
この例は、式次第によるドキュメント化が自動化(効率化)までのワンクッションとしても便利だということを表していると思います。
シュッと終わることができる
実施する内容が明確に一覧化されていることで、最後までチェックし終えた == ミーティング中に必要なことが実施できたということがわかり
残り時間があってもシュッと終わることができるようになりました。
常にブラッシュアップを心がける
チームの人数や、フェーズに応じてミーティングの進め方も柔軟に最適化していきたいと思っています。
この式次第ドキュメントには「儀式流れ」というタイトルをつけています。
ちょっとアレなタイトルですが、これには意味がなく決まりきったことを行うだけの悪い意味での「儀式」にならないように常にブラッシュアップさせるという戒めの意味が込められています。
なのでそれぞれのミーティングの最後には「流れをブラッシュアップする」という旨の項目を追加するようにしています。
まとめ
今後も、この式次第をブラッシュアップして省けるものは省き、自動化できる部分は仕組み化するなどしていきたいと思います。
みなさんも、一度日々の定型的なミーティングの流れを棚卸ししてまとめてみてはいかがでしょうか?
ドキュメント化すればOKというわけではないですが、棚卸しをして毎日活用することで着実な改善につながるはずです。