ロコガイド テックブログ

「地域のくらしを、かしこく、たのしく」する、株式会社ロコガイドの社員がいろいろな記事を書いています。

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リモート環境でのチーム作り

こんにちは@hatuyuki4です。普段はiOSアプリ開発をしていて、ロコガイドではモバイルチームのグループ長をやらせてもらっています。ステーキを焼くのがやたら上手いです。

弊社では2020年3月末から原則フルリモート勤務を開始していて、10月初旬の現時点でもそれを継続しています。やはり勤務形態が変わると、チーム作りも今まで通りではうまく行かなくなってきます。今回は、フルリモート状態でのチーム作りやコミュニケーションについて、トライしてきたことを書こうと思います。

自発できるチーム

勤務形態によらず、自分がチーム作りの上で一番心がけていることはメンバー全員が自発できるチームにしようということです。自発とは、メンバーそれぞれが新しい試みや改善点について考え、そしてそれを実際に実行できるような状態をさします。自分で考え、自分で行動する。それを誰もが行えることを目指しています。

多くの人が開発をしていく上で「実はこうしたほうがいいと思うんだけどな」などの漠然とした改善案を考えていたりします。しかし実際に行動できる人は多くありません。思考から行動までに、障壁があるのです。

その障壁の一つとして心理的安全性が確保されていないことが挙げられます。

心理的安全性

心理的安全性はGoogleが「生産性の高いチームを研究をする上で重要である」と発表した考えで、チーム作りをする上でよく話題にあがります。心理的安全性とは「自分らしくチームで働けること」などと紹介されたりしますが、要は、自分や自分の意見についてチームに安心してなんでも言い合える状態であると言えると思います。

「こんなこと言ったら何もわかってない奴だと思われるのではないか」などと心配していては、新しい提案なんてできるはずがありません。

安心してなんでも言い合えるチームを目指す上では、仕事でのコミュニーケーションはもちろん、仕事以外でのコミュニケーションも重要です。自由に提案しあうには、仕事もプライベートも関係なく、どんなことでもメンバーと意見を交換できている必要があります。

フルリモート下でのコミュニケーションの問題

心理的安全性にはコミュニケーションが大事だと言いましたが、フルリモート環境では従来とは違うコミュニケーション上の特徴が生まれます。そして残念ながら、その特徴により心理的安全性を確保するのが難しくなっています。それにはいくつか理由があると思っています。

一方向でのコミュニケーションになりがち

リモート会議の常として、複数人で同時に話すと会話が混線し、音声がどうしても聞き取りづらくなります。そのため弊社では参加人数の多い会議では、マイクを基本的にオフにして、発言する際にだけオンにする運用を試みています。

一方で物理での会議では行われていた、ラフに思いついたことを発言したり、軽くツッコミを入れて場を和ませたり、みたいなことが非常にやりづらくなってしまいます。そのため発言が一方向的になることが多く、会議中一度も発言しないメンバーも出やすくなってしまいます。

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必要なこと意外話さなくなる

リモート会議では、物理で行われる会議よりも雑談が少なくなりがちです。先ほどの会話が混線するという問題もありますし、物理的な情報が削ぎ落とされているという原因もあるかもしれません。物理で会っていたら「髪を切った?」などのちょっとした話題から雑談が膨らむこともありますが、リモート会議ではそれも乏しくなります。進捗確認の場などでも、必要なことだけを共有して終了、ということになりがちです。

心理的安全性を確保する場が必要になる

コミュニケーションが一方向になりがちとはいえ、必要な情報はメンバーに伝達できているので、仕事に支障が出るということはありません。しかしメンバーが自由に発言すること自体のハードルが高くなってしままっています。そのような状況下で、新たな提案なんてできるはずがありません。 そのため従来の会議体とは違う、あらたに心理的安全性を確保する場が必要になってきます。

具体的な取り組み

このような状況もあったのでモバイルチームでは、心理的安全性を高めつつ、自発的に改善の提案をできる取り組みをいくつか行ってきました。ここではその具体例を紹介します。

おやつ会

おやつ会とは、チーム内でおやつを食べながらざっくばらんに話をする会です。だいたい午後3:00ごろに開かれていたのと、おやつを食べながら休憩する感覚で会を開いているので、おやつ会という名前になりました(実際におやつを食べているメンバーは半数です)。

今では週2回、30分ほどの時間をとって開催しています。おやつ会では主に、以下のような話をしています。

・軽い進捗共有
・技術的な雑な相談
・完全なる雑談
・適当な愚痴

ちょっと雑談する、軽い相談をするなど、職場に出社していた場合は席の近い人と意識せずにできていたことが、リモート環境下では難しくなります。おやつ会では、業務を進めていく上での不安をチームに話すこともあれば、雑談に終始することもあります。そういった雑談が 何でも言い合えるチームの土台になっていくのだと思います。

社内もくもく会

もくもく会は週に一度、終業後に自由にそろって作業する場です。業務に関わらないことでも、自分が興味のある技術的な分野に取り組んだり、技術書を読んだり、家庭の雑事をしたりと、かなり自由な場になっています。参加も不参加も自由で、開始や終わりの時間も自由です。

かなりラフな形でもくもく会を開催していますが、効率的に作業をするよりも、作業を通じて社員同士でコミュニケーションが取れるというほうが重要だと感じています。あまりキッチリしすぎると会に参加するのも億劫になってしまうので、ある程度ゆるい感じで進むぐらいで良いと思っています。

もくもく会はDiscored上で集まり行われ、自分の好きなBGMをボイスチャット内で共有しながら行われたりしています。(自分の好きな音楽を他人に聴かせられるのは、かなり心理的安全性が高くないとできないことだと思います)

もくもく会はチームのメンバーの提案により発足されたものなのですが、非常に素晴らしい試みだと思います。ありがたいです。こういったことを提案できるのも、心理的安全性を高められているからかもしれません。

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Appカイゼン

これはコミュニケーションの場というわけではないのですが、アプリの改善を自発的にやるための取り組みを、モバイルチームでは行っています。AppカイゼンとはGoogleの 20%ルールなどを参考にし、業務時間の10%を利用して、メンバーがそれぞれ考えるアプリの改善を行うという取り組みです。例えば自動テストについて新しい取り組みを行ったり、アプリに新機能を追加してユーザに公開したりなど、改善の種類は様々です。

自分で課題をみつけて、自分で改善を行う。自分が立案した内容が実際に改善に活かされると、達成感も得られてモチベーションも上がりますし、また課題を自ら見つける力を養うことにもつながります。

自分は課題を解決できるエンジニアよりも、課題を見つけられるエンジニアのほうがより組織に貢献できるエンジニアであると考えています。Appカイゼンがその基礎づくりとなり、さらに大きな課題へ挑戦できるエンジニアになりたいと考えていますし、メンバーにもそのようになってほしいと思っています。

まとめ

フルリモートでの勤務が続いてくると、徐々にコミュニケーションも最適化され、必要な情報の伝達しか行われなくなっていきます。しかしそれでは、なんでも言い合えるチームからは遠ざかってしまいます。フルリモートによって失われてしまった分は、意識的に場を設けて補っていく必要がありそうです。

もちろん弊チームも、フルリモートを初めて半年ほどなので、まだまだ完璧に運用できているとは言い難いです。しかし今後も、開発に関する課題を自ら見つけて自ら改善できる、そういったチームを目指していきたいと思います。