ロコガイド テックブログ

「地域のくらしを、かしこく、たのしく」する、株式会社ロコガイドの社員がいろいろな記事を書いています。

「地域のくらしを、かしこく、たのしく」する、株式会社ロコガイドの社員がいろいろな記事を書いています。

チームの指針となるサービスコンセプトの作り方

f:id:jun-okada:20191113095920p:plain

こんにちは。地域情報部エンジニアの岡田です。

サービスのコンセプトを定めているチームがほとんどだと思いますが、
コンセプトのアウトプット形式も様々あり、(長かったり、難しい言葉が多かったり、抽象的なことしか書いてなかったり)
なかなかチームに浸透していないことも多いのではないでしょうか。

そこで、今回は、「チームの指針となるサービスコンセプトの作り方」ついて話したいと思います。

地域情報部は、2019年4月に新規事業としてできた部です。
ミッションを「紙ベースの地域情報の価値をオンライン化する」として、9人で進めています。

エンジニア 1人
デザイナー 1人
ディレクター 1人
営業 2人
編集 1人
インサイドセールス 3人

そして、
2019年10月に「地域情報サービス静岡版」としてトクバイアプリ内でサービスをリリースしました。

また、リリース直後に
静岡県が運営する「しずおか子育て優待カード」事業と事業連携を行い、
「しずおか子育て優待カード」が初めてWebサービス・アプリ内で利用可能になりました。

さて本題です。

コンセプト導入前の問題

コンセプトを導入する前の問題として、
チームが同じ方向を向いていなかったことが挙げられます。

その原因は大きく3つありました。

1. チームに成りきれていない

1ヶ月前まで違う部署で仕事をしてたので
お互いに相手がどういう思考をするのかがわかっていなかった。

2. サービスがまだない

新規事業では当たり前ですが、サービスがまだなく
アウトプットを見ながら議論することができないために
ブレることが多かった。

3. 各々のサービスへの想いが重い

メンバーの属性(既婚、未婚、子持ち)がバラバラで
ミッションに対しての課題感が違い
それぞれが思い描いているサービス像に違いがあった。

これらの問題から、
全員、同じモノを目で見て、議論することが必要であると思いました。
ちょうどサービスのコンセプトを作る時期だったこともあり、
ただのコンセプトではなく、コンセプトを目で見て議論できるアウトプットにしようと思い、作成を始めました。

指針となるサービスコンセプトを作る

コンセプトを0から作るのは、チーム全員が初めてのことだったので
それぞれが書籍で勉強しながら良い書籍をチームで共有し
共通知識・言語を作っていきました。

コンセプトを考えるうえでの軸が3つありました。

  1. シンプルなフレームワーク
  2. サービス理念としての目的
  3. ユーザーが感じる価値としての戦術

シンプルなフレームワーク

採用したフレームワークは、 「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門(森岡 毅)」に書かれている下記のマーケティング・フレームワークです。

  • 目的:OBJECTIVE(達成すべき目的は何か?)
  • 目標:WHO(誰に売るのか?)
  • 戦略:WHAT(何を売るのか?)
  • 戦術:HOW(どうやって売るのか?)

書籍内で紹介されている例がこちらです。

目的:嫁さんと仲直り 目標:嫁さん 戦略:弱点の甘いものから攻める 戦術:土産に豪華なロールケーキを買う

各項目についてどのように考えるべきなのか書籍に書いてあるので、オススメです。

サービス理念としての目的

フレームワークの「目的」を考えるときに デザイナーさんに「本当のブランド理念について語ろう 「志の高さ」を成長に変えた世界のトップ企業50(ジム・ステンゲル)」を紹介してもらいました。

「最も急速に成長を遂げているビジネスは、人間にとって大切な五つの基本的価値のいずれかに関わるブランド理念をもっている」

  • 喜びを感じさせる
    • 人々が幸せや驚き、無限の可能性を体験する後押しをする
  • 結びつくことを助ける
    • 人々がほかの人たちや世界と有意義な形で結びつく能力を高める
  • 探究心を刺激する
    • 人々が新しい世界や新しい経験に乗り出すのを助ける
  • 誇りをかき立てる
    • 人々が自信や力、安心感、活力を高めることを可能にする
  • 社会に影響を及ぼす
    • 現状を揺さぶり、新しいビジネスの枠組みを打ち出すなどして、社会全体に好ましい影響を与える

ちなみに、
ステンゲル50(2000年代の10年間にライバルと比較して目覚ましい成長を遂げた50のブランド)の
ブランドをカテゴリー別に整理したものがこちらです。

f:id:jun-okada:20191113095905p:plain

地域情報部では、

  • おでかけを通じて、より「家族」を結びつけたい
  • おでかけを通じて、より「住んでいる街」と結びつけたい
  • そして「家族」と「住んでいる街」を結びつけたい

という思いから、
「家族」と「地域」の「結びつきを助けたい」と決めました。

ユーザーが感じる価値としての戦術

「戦術」は実際にユーザーがサービスから感じる価値であり、他社との差別化要因であると思います。

そこで、戦術を考えるうえでも、マーケティング・フレームワークである
「バリュープロポジション」を使いました。

各項目の主語を下記に変更し考えました。

  • 競合他社ー「マンネリ化した週末」
  • 顧客ー「めぐみさん(ペルソナ)」
  • 自社ー「地域情報部」

f:id:jun-okada:20191113095829p:plain

以上3つの軸を意識して考えたコンセプトがこちらです。

f:id:jun-okada:20191113095908p:plain

チームにより浸透させるために

上記コンセプトができた時点で、
シンプルでわかりやすいコンセプトになったとは思いましたが、
まだ覚えやすいとは思えません。

そこで、イメージ画像を貼り
目で覚えられる」コンセプトにしました。

f:id:jun-okada:20191113095920p:plain

コンセプトを一語一句覚えるのは大変ですが、
写真を数回見れば、写真の雰囲気は覚えることができます。

また、
Slackのremind機能を使い
毎朝、部のチャンネルに画像を投稿することで
1日1回はこのコンセプトを見ることになり、
よりチームに浸透させられたと思います。

まとめ

チームメンバーからはこんな感想をもらいました。

  • 指針を共に考え、共有することでチーム内の共通認識が高まった。
  • 誰に、何を、どうやって、価値を提供するかが明確になり、無駄なコミュニケーションが減った
  • サービスの一貫性、説得力が高まったため、思い切った提案がしやすくなった。
  • 軸がブレそうになるときもあったけれど、立ち返る場所があるって大切なことだと痛感しました。 この写真が家族の毎朝スラックに流れてくるだけでもかなり効果があった
  • 営業として、フリーペーパー企業・観光協会/役所や飲食店への紹介時にプロダクトの説明が非常にスラスラと出てくるようになった

いかがでしたか?

スラスラと書きましたが、
実際はこんなにシュッと決まったわけではなく、
それぞれが、書籍でインプットし、右往左往しました。
着手から完成には1ヶ月くらいかかっており、
都度、担当役員にFBしてもらいブラッシュアップしました。

決してコンセプトの形は1つではないので、
チームに合ったコンセプト形式を考えることで、チームの指針にすることができると思います。